2009年4月17日(金)、経団連会館国際会議場において、平成20年度の研究調査報告会を開催いたしました。(研究調査報告会スケジュール)
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報告テーマは以下の通りです。
Ⅰ.二段階横断方式によるサイクルタイム大幅短縮の試み
~環境配慮・オールユーザー指向の実用的な大規模交差点設計・制御の研究~
PL 家田 仁 (東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授)
赤羽 弘和 (千葉工業大学工学部建築都市環境学科教授)
栗原 典善 (NORI.INC代表取締役)
宇佐美 勤 (住友電気工業(株)システム事業部主幹)
佐藤 徹治 (千葉工業大学工学部建築都市環境学科助教)
野田 素良 (警視庁交通部交通管制課副主幹)
山崎 勝則 (警視庁交通部交通管制課信号機運用係長)
鳩山 紀一郎(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻客員研究員)
矢嶋 宏光 (計量計画研究所PI研究室室長)
後藤 貞二 (東京国道事務所所長)
渡邊 稔 (東京国道事務所交通対策課長)
待ち時間のイライラ解消や自動車のCO2削減に有効な施策として、大規模信号交差点の横断歩道に中央帯を設置し、その前後で異なる信号表示を与える二段階横断方式を導入したうえで信号サイクル長を短縮する手法が注目されている。この手法が歩行者・自動車双方の快適性を向上し得ることは室内実験やシミュレーション解析によって明らかになっているが、実道での効果は示されていなかった。また横断歩道デザインを工夫し、意図を分かりやすくユーザーに伝えることも課題であった。
本研究プロジェクトでは、霞ヶ関2丁目交差点において二段階横断方式を導入して信号サイクル長を短縮する社会実験を実施し、事前事後の調査から効果を検証した。このほか、馴染みのない横断方式をユーザーに受け入れてもらいやすくするために、ユーザーの困惑を回避する導入手順上の工夫や、横断歩道等の詳細設計上の工夫、社会実験時の広報も行った。
Ⅱ.プレホスピタルにおける救急車患者搬送の諸問題とその解決法
PL 守谷 俊 (日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター医長)
赤羽 弘和 (千葉工業大学工学部教授)
高田 邦道 (日本大学理工学部教授)
松村みち子 (タウンクリエイター代表)
吉田 傑 ((株)本田技術研究所主任研究員)
葛山 順一 (鎌ヶ谷市役所主査)
木戸 伴雄 (交通アナリスト)
平野 和範 (練馬区都市整備部長)
南部 繁樹 ((株)トラフィックプラス代表)
救命救急活動における数分の時間が、命と引き換えになる程、その重要性が最近強調されている。この時間を少しでも短縮するためには、消防署、救急現場、病院のつながりが重要で、いわゆる「命のトライアングル」のそれぞれが機能しなければ、病院前(プレホスピタル)の特に重篤な傷病者においては救命することは困難であると推測される。しかしながらその問題の範疇は,トライアングル以外にも患者の特徴や社会構造の変化によって大きく広がりその多様性からすべてを解決していくことが困難である。
客観的なデータの収集可能な救急患者搬送の実態をもとに、搬送がスムーズに遂行されるための環境あるいは要件に着目し,プレホスピタルにおける効率的な方策を検証したい。一方,現時点で社会問題化している救急患者たらい回しについては,今後さらに大きくなることが予想されるので,問題点の明確化、できれば解決に対する方策の提案を行いたい。
本研究においては、①重症度や緊急度の高い三次救命救急施設に搬送された客観的データをもとに、プレホスピタルにおける患者搬送の効率化方策の検証を行う。②現状で発生している傷病者たらい回しの状況については、救急搬送活動の円滑な活動が行われている都市を手本に問題点を明らかにし、解決への方向性を検討する。①②の研究成果から今後広域運用に向かう救命救急活動の仕組みの中で、有効なプレホスピタルを行うための方策を提案する。
Ⅲ.地域社会が保障すべき生活交通のサービス水準に関する研究
PL 喜多 秀行 (神戸大学大学院工学研究科教授)
竹内 健蔵 (東京女子大学文理学部教授)
上田 孝行 (東京大学大学院工学系研究科教授)
菊池 武弘 (NPO法人ひらかわマイバスの会顧問)
竹内 伝史 (岐阜大学地域科学部教授)
谷本 圭志 (鳥取大学工学部准教授)
宮崎 耕輔 (高松工業高等専門学校准教授)
岸野 啓一 (岸野都市交通計画コンサルタント㈱代表取締役)
地方部とくに過疎地域では公共交通サービスの確保が危機に瀕しており、マイカーを利用できない住民が最低限の医療や買い物にも不便をきたすなど“望ましい交通社会”とは到底言えない状況が散見される。その原因のひとつとして、確保すべき公共交通サービスを適切に設定するための体系的な考え方が、実務界はもとより学術界にもほとんど存在しないことが挙げられる。
そこで本研究は、地域社会が保障すべき生活交通のサービス水準を選定するための手法、およびその基盤となるLTP(地域公共交通計画)策定の方法論を構築することを目的として行った。
具体的には、まず、過年度の研究で提案した「活動機会の保障」という観点に立ち、公共交通のサービス水準と活動機会の獲得水準および許容負担額の対応関係を明らかにすることにより、住民自らが「サービスと負担の組合せの選択」を行うという考え方と必要となる道具立てを提案した。そして、青森県平川市にてフィールドスタディを行い、本方法論の適用可能性と有効性を確認した。これらの成果を「LTPの策定方法論」としてとりまとめ、併せて保障すべきサービス水準の選定法を示した。
Ⅳ.新学際プロジェクト
~超高齢化を迎える都市に要求される「移動の質」の研究
PL 土井 健司 (香川大学工学部教授)
長谷川 孝明 (埼玉大学大学院教授)
小林 成基 (自転車活用推進研究会理事長)
杉山 郁夫 ((株)日建設計シビル理事)
溝端 光雄 (東京都老人総合研究所研究副部長)
学際研究の重要性を指摘した昨年度実施のH971プロジェクトにおいては,1)多層的・多領域な視点への意識的転換,2)徹底した人間社会の動向把握に基づくシステム創成と要素技術の開発,3)将来ニーズを先取りする先見性と創造性の発揮,が提案されている。本研究ではこうした提案を受けて,超高齢化を迎える東京圏を対象として,高齢者を標準とする「移動の質」のあり方とそれに不可欠な技術・制度およびシステム創成に関する検討を行ったものである。
プロジェクトにおいては,まずQoLに関わる多元的な価値観,活動ニーズ,交通改善要望を含む包括的なライフスタイル調査を実施した。その結果に基づき,派生需要として移動の位置づけを見直すべき時期にきており,1)高齢者の移動は社会参加を通じ生活能力を維持する(命を寿ぐ)ために必要不可欠なものであり,2)それを支えるための徒歩と自動車の中間のパーソナルな移動手段が望まれること,3)そのような移動手段の普及が欧米追従型ではない新しい都市のかたちを産み出す可能性があること,を示した。





