著作部門褒賞

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第40回 平成30年度(2018年)

著作表題:
交通経済学入門 新版

受賞者:竹内 健蔵

受賞理由:

 我が国の交通施策は、欧米諸国と較べ、また近隣アジア諸国と較べても、まだまだ発展の余地を多く残しています。さらなる進展のためには、社会が求める解をもとめて、多様な価値観や背景を持つ人々が集まり、議論を交わすことが必要であります。そのためには、そこに共有されるべきプリンシパルが必須であり、その意味では、一定の合理性を持って施策の価値を見いだすことができる専門家が、適材適所で活躍すべきであります。大学教科書として執筆された本書の意義はまさにその点にあるといえます。専門家を世に供給する役割としての高等教育の意義は、もっとクローズアップされてしかるべきで、本書は、タイトルからわかるとおり、交通経済学分野の入門書として、大学学部生向けの教科書を意識して書かれた学術書であります。筆者の経験と知見を活かして、平易な文体と具体性のある例示で敷居を下げつつ、章を追うにつれて専門性の深みに引き込んでいく構成は、高い完成度であると評価されました。
この分野における専門家の育成に役立てられるのは、間違いないであろうと考えます。加えて、日常生活で目にする様々な制度や現象について、コラム形式でその意味や原理を紐解くことで、必ずしも専門家ではないビジネスパーソンにも間口を広げていることや、交通×経済というクロスリレーショナルなこの分野ならではのトピックにも章を割くなど、関連の深い土木計画学分野の研究者にも有意義な内容となっていることも、高く評価されました。教科書でありながら、一般書としての意義も十二分に認められます。
 これからさまざまな統計や分析結果に触れることになる学生に対して、それらには必然的に恣意性が伴われることを常に意識するよう、その本質を見抜く力をつけるよう、随所で述べているところは、教育者としての筆者の矜恃の表れといえます。本書のような良書がきっかけとなり、一人でも多くの専門家が、この分野で活躍することを願う次第です。

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