研究調査

research study

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ウォーカブル・シティ評価手法の成果公表と実装

プロジェクトリーダー:一ノ瀬 友博
年度:2023年, プロジェクトナンバー:2320A

背景と目的

日本では急激な人口減少、超高齢化を迎え、都市のコンパクト化が進められている。しかし、ただ単に都市をコンパクトにすれば良いわけではなく、都市の活力を維持し、魅力を向上させるために「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市再生が2019年に国土交通省に設置された懇談会で提唱され、2020年度から「まちなかウォーカブル推進プログラム」がスタートすることになった。2020年から取り組んできた研究調査プロジェクト「ウォーカブル・シティ評価手法の開発」では、欧米の研究や事例を参照し、ウォーカブルな都市(ウォーカブル・シティ)を包括的に評価する手法を研究してきた。本社会貢献プロジェクトではこれまでの成果をとりまとめ論文、図書として公表すること、国土交通省都市局と連携し、日本の都市のウォーカビリティ評価に成果を実装させることを目的とする。

期待される成果

国土交通省が進める「まちなかウォーカブル推進プログラム」は、都市のコンパクト化、中心市街地の活性化、低炭素化、そして最終的には環境と調和の取れた暮らしやすいまちづくりを目指している。研究調査プロジェクト「ウォーカブル・シティ評価手法の開発」ではウォーカビリティ指標について、国内外の文献と事例のレビューを行い、扱われているスケールが都市レベルからミクロな歩行空間のデザインまで幅が広い と、指標には大きく3つの方向性があること(客観的な手法、主観的な手法、新たな技術を活用した手法)が明らかになった。さらに、ウォーカブルの推進を通じてどのようなアウトカムを目指すのかにより用いる評価手法が変わる、あるいは変えるべきであることが見えてきた。一方、国土交通省都市局では2020年度から評価手法を検討し、いくつかの都市で評価の試行を行ってきた。その結果、国土交通省は主にミクロスケールに着目し、人による主観的な評価を中心に検討が進められている。これは国土交通省がアウトカムとして「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を掲げているからであると言える。本プロジェクトでは1年目(2023年度)にこれまでの研究及び事例のレビューをとりまとめ、先のプロジェクトで取り組んできた評価手法を整理し、2年目(2024年度)の出版に向けて原稿を準備する。加えて、国土交通省都市局の調査研究に協力し、それぞれの都市がおかれている条件を踏まえた包括的なウォーカビリティ評価手法を提案し、実装することを目指す。

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