研究調査

research study

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睡眠負債による交通事故リスクを可視化するスクリーニング法の社会実装研究

プロジェクトリーダー:谷川 武
年度:2025年, プロジェクトナンバー:2507A

背景と目的

「睡眠負債」は、交通事故リスクを高める要因とされ、その対策が喫緊の課題である。特に職業運転者は長時間労働の影響も相まって、眠気を感じない場合でも覚醒度が低下し、事故リスクが増大している。覚醒度を客観的に評価する心理検査であるPsychomotor Vigilance Test (PVT) は、10分間の検査時間が必要であったが、提案者は約1分間で実施可能な短時間PVTを開発済みであり、その社会実装によって睡眠負債がもたらす事故リスクの可視化を目指す。
本プロジェクトでは、行政・団体と連携して国内実証を行い、実務導入しやすいスクリーニング法を確立して、安全なモビリティ社会の実現に寄与することを目的とする。

期待される成果

本プロジェクトで用いるPVTは、職業運転者の睡眠負債を早期に可視化し、必要に応じた対策を講じる上で大きな意義を持つ。PVTは米国航空宇宙局(NASA)でも宇宙飛行士の覚醒度測定に用いられる手法で、ランダムな間隔で小窓に表示される数字に被験者が直ちに反応しボタンを押す操作を繰り返すことで平均反応時間などから覚醒度を客観的に把握でき、デジタルデバイス上で実施可能である。PVTを導入することによって、睡眠負債による交通事故高リスク運転者をスクリーニングし、当該運転手に対する適切な対処方法を示すことによって、交通事故リスクを低減させることが可能である。本プロジェクトでは、JAFや東京都トラック協会などと国内実証を重ね、実社会に基づいたデータ収集と運用法を確立し、最終的には行政や事業者が導入しやすいPVTの実施法を整備する。

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