研究調査

research study

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街路樹のあるべき姿を探る

プロジェクトリーダー:一ノ瀬 友博
年度:2025年, プロジェクトナンバー:2508A

背景と目的

街路樹の倒木による死亡事故をきっかけに街路樹の在り方が大きな社会問題になりつつある。国土交通省の調査では年間5200本もの倒木が発生していることが分かっており、予防的に伐採、あるいは極端に強剪定される事例が急増している。一方で、街路樹を含む都市の緑はグリーンインフラとして様々な機能を発揮することを期待されており、都市の魅力を高める要にもなっている。そもそも街路樹は車のスピードを低下させたり、事故の際に歩行者への被害を軽減させるなど、交通安全にも寄与してきた。本調査研究プロジェクトでは、街路樹の歴史、整備や管理の実態、国外の制度や先進事例を調査し、日本におけるこれからの街路樹のあるべき姿を探り、具体的な提案をすることを目指す。

期待される成果

街路樹のあり方は、古くて新しいテーマである。国際交通安全学会としては約30年前の1996年のIATSS Reviewで並木と街路樹という特集を組んでいる。並木としては、日本では7世紀に遡り、世界では古代エジプトにおいて確認されているように長い歴史を持つ。日本の最近の調査では全国に約630万本の街路樹が植栽されているという。しかし、街路樹は植栽管理側と道路管理者側のどちらか一方からだけ議論されることが多い。国際交通全学会では、交通、緑地、環境、都市計画、経済、法律など多角的に街路樹のあり方を議論できる。学際的に街路樹に着目することは国際的にも新規性が高い。本調査研究プロジェクトでは、国外の調査も踏まえ、政府や自治体への提言を目指す。その際には、一本の街路の街路樹をどうするべきかではなく、交通安全の視点に加え、都市のスケールで魅力ある緑の形成とグリーンインフラの機能の発揮を検討する。日本の都市においてどのように街路樹が整備されてきたかを整理し、国外の事例の調査に基づき、都市のどの街路に街路樹を整備すべきか、街路樹を植栽するのであればどのように設計し、管理されるべきかを明らかにする。

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