research study
子育てしやすく子どもにやさしい交通環境実現のための教育・行動変容プログラムの開発と適用
背景と目的
人口減少・少子高齢社会に直面する我が国において、子育てしやすく子どもにやさしい交通環境の整備が喫緊の課題である。国土交通省では、ベビーカーマークの普及をはじめ、子育てにやさしい交通環境整備の促進とともに、子ども連れおよび子育てに対する国民の理解(心のバリアフリー)向上に向けた施策を進めている。一方、欧米では、親による車送迎に依存せず子どもだけで移動できる環境整備が、子どもの能力開発促進とともに、過度な自動車利用削減にも寄与するものとして、Children’s Independent Mobility(子どもの移動自由性)の重要性が認識されている。
以上の背景の下で、本研究は、安全・安心で持続可能な子育てしやすく子どもにやさしい交通環境実現のために、子ども連れおよび子どもの移動に必要な交通ルールやマナーに関する教育プログラム、および親による過度な車送迎を抑制するための行動変容プログラムを開発・適用し、その効果を検証することを目的とする。最終目標として、国民の子ども連れ外出に関する心のバリアフリー醸成に貢献する、Webラーニングが可能な教育プログラムを含めた「子ども連れ外出ポータルサイト」を実装する。
期待される成果
我が国の大都市と地方都市、そして海外諸国における都市・交通環境や社会的文化的背景の違いを考慮した教育・行動変容プログラム(対面の講義+実技、Webサイト)を開発し、子育て予備軍である若者から高齢者まで多様な人々に適用することで、より安全・安心な移動の実現、子ども連れおよび子どもに関わる交通事故の削減、子育てに関する心のバリアフリーの醸成、そして少子化対策にも貢献できる可能性がある点が、先見性と実際性を有するものと考える。また、2023~2024年度の研究において、子ども連れ外出安全教室が子ども連れ外出に対する理解および子育てに対する興味・関心を向上させること、情報提供により過度な車送迎を抑制できる可能性が示されている、実現性の高い研究であり、今年度は教育プログラムの確立と海外への展開可能性を検証する。