研究調査
research study
モビリティ分野の GIG エコノミーをめぐる社会課題解決:インドにおけるラストマイル•バイク配送運転者を中心とした安全性向上にむけて
プロジェクトリーダー:中村 彰宏
年度:2025年, プロジェクトナンバー:2512A
背景と目的
インドでは、バイク事故は交通関連死亡者数全体の 44.5%を占め、歩行者など他モード全死亡者数の 4 分の 1 に対する加害者となっている。なお、昨今ではバイクは、配送サプライチェーンの重要な輸送手段となっており、GIG エコノミーを担うバイク運転者は、自身の安全面よりも高い報酬を目指し無謀運転をすることも多く、彼らが属するプラットフォーマーを含む社会システムには不備がある。
本研究は、近年増加傾向にあるラストワンマイル配達バイクの事故リスク、さらに同国の異常高温の配達バイク運転者への影響を分析し、行政施策やプラットフォーマー側の対応策、運転者への啓蒙活動などを通じて、配達バイク運転者の行動変容を促すことを目的とする。
期待される成果
ラストマイル配送を担うバイク運転者は、継続的な長時間労働や定時配達へのプレッシャーなど通常の運転者とは異なる状況下にある。そのリスクや行動原理を理解し、その社会的位置づけを見極めた上で、超学際的な解決策を提案する事は重要である。特に本研究はリスク分析に加え、運転者の行動分析、プラットフォーマーを含む社会システムに Nudge を取り入れた場合の行動変化を分析し、交通•福利厚生行政への提言を行う。特に、ウェアラブルから得られるデータを使って、異常高温が事故増加のみならず運転行動に与える影響を解析し、気象予報とリンクさせた啓蒙方法、信号制御や道路インフラデザインにおける対応策、政策•企業戦略を含めた望ましい社会システムを立案する。
本研究では、1年目は実態調査及びデータ収集、2年目は他データとのリンクやリスク解析またリスクインパクト分析及びアンケート本調査、3年目は対策立案についてのワークショップを行う。