研究調査

research study

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シミュレータを活用した運転教育の研究

プロジェクトリーダー:長江 啓泰
年度:1992年, プロジェクトナンバー:H292

背景と目的

国際交通安全学会の自主研究プロジェクトである「シミュレーターを活用した二輪車安全運転教育の研究」は、平成2年にスタートした。当時は一種のシミュレーター・ブームであり、危険を体験するためにはシミュレーターはまたとないツールと考えられ、その必要性、有効性が盛んに叫ばれた時期でもあった。
初年度の研究では、現存の航空機、船舶、電車、自動車等の各種シミュレーターの資料収集、見学を行い、シミュレーターの定義、性能限界、活用上の課題を討議するところから始めた。そして、当然の帰着とも言えることであるが、言わば教育目標を明確にしないまま、シミュレーターの在り方を論ずることはできないとの結論となった。
第2年次には、二輪車用のシミュレーターに焦点を絞り、まずは二輪車運転者の教育問題での重要な課題はなにかの識論がなされた。その結果、危険予知の能力を向上させるための教育・指導が現行の仕組みでは効果的になしえない状況にあるとの結論を得た。シミュレーターと一口で表現されるが、その捉え方は人によって様々であり、的確に分類し、定義付けることが必要との議論がなされた。この時期に、三菱プレシジョン製の二輪車シミュレーターが供用を開始し、同時期にホンダ製のライディングシミュレーターが公開された。このような状況の中で、シミュレーター自体の性能・機能を教育項目と関連付け、客観的、数量的に評価する必要が明らかとなり、ファジ一媒合論を用いた計算法の試案が提案された。
最終年度である今年度は、さらに評価法のブラッシュアソプを図り、鈴鹿サーキット交通教育センターに設置されているライデイングシミュレーターを用い、安全運転教育の有効性と、シミュレーターの性能評価を行なった。
本プロジェクトを進めるにあたり、運転者教育の内容、手法が指導者によって異なる表現がなされること、教育項目と学習過程での習得効果が数量的に把握できず、勢い観念的、主観的となるなど、多くの解決できない難問に遭遇した。しかし、参加したメンバーのあくなき情熱と知恵によって、徐々にその方向性が明確となった。

成果物

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