研究調査
research study
広場・歩行空間における群衆行動の観測とその制御による安全性向上に関する研究
プロジェクトリーダー:吉田 長裕
年度:2020年, プロジェクトナンバー:2002B
背景と目的
人口密度が高く狭隘道路の多いアジア的大都市において、広場・歩道空 間の歩行者群集による混雑は避けられない問題となっている。特に大規模 イベント開催地周辺また公共交通結節点(鉄道駅等)周辺の道路では混 雑が多発する。これら混雑は、歩行者の安全・快適、周辺交通への影 響、犯罪発生などに関わる。これまで、過去の経験に基づいた対策などが 行われてきているが、モバイル通信の発達やこれに基づいた群衆状態の把 握・誘導、さらにはこれらに基づいた空間設計に関する知見はあまり得られ ていない。本研究では、3 年間を通じて、国内外の専門家を交えて、広 場・歩行空間における群衆行動の観測と制御に関わる最新の知見ととも に、これらを交通流の制御や警備活動、空間設計に活かす方策の検討を 目的する。
期待される成果
これまでの群衆行動とその制御に関わる研究に関しては、施設内における イベントや災害時の避難シミュレーション等が行われているが、これらを広場 や道路空間、さらにその歩行ネットワークに適用した研究は殆ど見られな い。また、1 年目の研究レビ ュー、事例収集により、世界における歩行者 系空間・広場整備の潮流、モバイルデータの精度、群集把握事例、国内 渋谷ハロウィン、神戸ルミナリエでの観測調査とモバイルデータとの比較、警 視庁へのヒアリング、群衆と犯罪の関連性、について関連情報を整理する ことができた。とくにモバイルデータの活用により、群集及び混雑状態を把握 できる可能性が示されたことから、今後は、オリンピックなどの大規模イベント 時、災害対応など需要増が見込まれる歩行空間において、より詳細な分 析及び群集状態の管理・制御方策について、実行可能な新たな知見を 提供したい。