research study
ウォーカブル・シティ評価手法の開発
背景と目的
日本では急激な人口減少、超高齢化を迎え、都市のコンパクト化が進めら れている。しかし、ただ単に都市をコンパクトにすれば良いわけではなく、都市 の活力を維持し、魅力を向上させるために「居心地が良く歩きたくなるまち なか」からはじまる都市再生が 2019 年に国土交通省に設置された懇談 会で提唱され、2020 年度から「まちなかウォーカブル推進プログラム」がスタ ートすることになった。既に、全国で 302(2021 年 1 月末現在)の都市 がウォーカブル推進都市として名乗りを上げている。本研究はウォーカブルな 都市(ウォーカブル・シティ)を横断的に評価する手法を明らかにすることを 目的とする。欧米の先進事例を参考にしつつ、日本の都市に適した評価 手法を目指す。
期待される成果
国土交通省が進める「まちなかウォーカブル推進プログラム」は、都市のコン パクト化、中心市街地の活性化、低炭素化、そして最終的には環境と調 和の取れた暮らしやすいまちづくりを目指している。本プロジェクトでは 1 年 目にウォーカビリティ指標について、国内外の文献と事例のレビューを行い、 扱われているスケールが都市レベルからミクロな歩行空間のデザインまで幅が 広いことと、指標の対象となる要素が多種多様であることが明らかになってき ている。国土交通省も 2020 年度から評価手法を検討、試行しつつあるた め、既に意見交換の機会を持ち、担当課と連携しながら研究を進めること になった。現在の国土交通省の指標は多様な要素を組み込んでいるもの の、ミクロスケールを中心としていることに加え、個別に調査が必要で評価の 労力が大きいという課題がある。本プロジェクトでは都市レベルでの指標を 提案するとともに、ウォーカブルを計測するセンシング技術についても検討す る。スケールを横断したウォーカビリティ指標は国外も含め先見性があり、か つ国土交通省の施策にすぐに反映しうるので実際性が高いと言える。